街の活性化に関する企画・プロデュース業務 株式会社ELC JAPAN
代表ブログ
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2019/11/25

魅力あるまちづくりと生き甲斐づくりのポイントー⑭ 本気で取り組む

数年前、ある会社で社員研修の講師をした時、司会をしてくれた青年の話が印象に残っています。


惰性と真剣さ

 彼のお兄さんはサーフィンが好きで、週末はいつも千葉の御宿海岸へ練習に出かけて行きました。そのうち「面白いから、おまえも一緒に来い」と運転手を兼ねて無理やり彼もサーフィンに連れて行かれたのです。海岸に着くとすぐにお兄さんは練習を始めます。しばらく練習したあと、今度は彼に「よく見ていろ」と理論的なことを説明し、自分でやってみろと実践に入りました。しかしもともと無理やり連れて行かれていたので、あまり真剣でもなく、また運動神経もそれほど良いほうではなかったので、何ヶ月経ってもちっともできるようになりませんでした。

 あるとき、お兄さんに急用ができて先に帰ってしまい、一人残された彼はぼんやりと海を見つめていました。その時、若い魅力的なギャルが近づいてきて「サーフィンのやり方を教えてくれませんか」と言ったのです。多分彼が真っ黒い顔をして、そばにサーフボードを立てかけていたので、できると思ったのでしょう。あまりに可愛い子なので、「僕はサーフィンができないのです」と言えなくて、つい、「いいですよ」と言ってしまいました。しかし、理論的なことはお兄さんから聞いて知っていましたから、彼は丁寧に説明したのです。何回か彼のアドバイスを聞きながら1時間ほど練習したところ、なんとその女性はきれいにサーフィンができるようになったのです。


本気の実践

驚いたのは彼の方です。何ヶ月も教えてもらっても少しもできるようにならなかったのに、その女性はたった1時間程の説明と実践でできるようになったのですから。彼は「ええ?まさか!!」と思いました。そこで、その女性が帰った後、彼は再度挑戦してみました。あの女性にできて自分にできないはずがないと。ところが、できたのです。あっという間にできたのです。そこで、彼は知りました。ものごとは何となくやっていても身につかないのだと。それこそ本気でやらないと自分のものにはならないのだと。

本気の教育

この本気ということに関しては、教育も同じです。教育の荒廃が言われて久しくなりますが、本気の教師がいなくなっただけなのです。数年前、本物の情熱を持った小学校の若い女の先生から次のような手紙をもらいました。

「私の6年生のクラスには、一般的に『問題児』と呼ばれている子が何人かいます。そのなかの、一人の女の子のことです。家庭環境が極悪で、両親とも中学を出てそのまま働いている。お父さんは中学中退です。だからというのも変ですが、子育てはほったらかし。父親はその子に暴力を振るう。母親は、朝は新聞配達、昼はトラックの運転手、夜は寿司屋で働き、夜中に帰ってくるという生活で、子供にかまってあげる時間がない。だからその子は、いつも服装は乱れ、言葉はヤクザ言葉、授業中の勉強などまともにしたことがありません。私は、その子が5年生の時から、クラスは違いましたが、どうしても気になっていました。できることなら、その子の力になれたらと思っていました。それが現実化し、いま担任をしているのです。

4月のクラス第一日目から、まずは、信頼関係を築くことに努めました。毎日少ない時間を見つけては、一対一で話をしました。私が心の中で思っていることを素直にその子に伝えました。内容は様々ですが、必ず最後には「いつも先生は応援しているよ。信じているからね」と励ましの言葉をかけつづけました。そのたびに、その子はいつも涙を流して、笑って席へ戻っていきました。ほんとうに愛に飢えているんだと思いました。そして心からの言葉は、必ず相手に伝わることも体験させていただきました。

それを1週間くらい続けたとき、今まで提出したこともない日記を出してきました。タイトルは「やる気」です。その子は自分の力で、がんばろうと決意したのです。だから、激励の意味をこめて、たくさん返事を書いて返しました。それがあまりに嬉しかったようで、次の日も日記を書いてきました。その時、彼女を呼んで、自分の決意、日記を忘れずに書いてきたことをとても誉めました。それと同時に、何人かの女の子に、彼女が自ら「やる気」を決意してがんばっている、とても素晴らしいということを伝えました。そうすると、その内の一人が彼女の自己変革をみとめ、そのことを日記に書いてきたのです。それを知って問題児だった彼女は、ほんとうにいままでこんなことは無かったというくらい喜んで、涙を流しました。そして苦手の算数をも、まじめに取り組むようになり、今日のプール掃除では一番熱心にプールの底を磨くほどでした。

子供であっても、『反省の力』が充分に働くことを、目の当たりにしました。また自助努力の姿は、他のまわりの人たちをも善導する力を持っているということも納得です。私はその子から、ほんとうにたくさんのものを与えてもらっています。魂を救う感覚というものを彼女から教えてもらいました。子供たちは、みんな愛を欲しているし、その愛が極端に不足した場合、悲惨な状態になってしまうことがよくわかります。そんな子を見ていると、ほんとうに惜しみなく愛を与えたくなってきます」


本気は人を動かし、ビジネスを動かす

ここにあるのは、本物のやる気、本物の愛情です。本物の使命感です。まさに本物の教師の姿です。哲学者・森信三先生は教育の本質を次のような言葉で表現しています。

『教育とは、流れる川に文字を書くようなはかない仕事である。しかし、それを岸壁に刻み込むような思いでやらねばならない』と。

これはビジネスも同じです。ビジネスもこちらが本気になった時、サービスの質が向上し、お客様は好意的な反応をし、リピーターが増加していく。自分の内部の良い状態が相手の良いものを引き出すのです。これを仏教では、「利自即利他(りじそくりた)」と言います。まさに人生の醍醐味です。

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